珍しいお土産
メキシコ人レスラーが大きな蛇を連れてリングに登場し、観客を驚かせていた。
巡業中、ミスター高橋(新日本プロレスレフェリー兼外国選手の世話役)氏はその蛇の世話役を引き受けていたが、その蛇は女の子なのに性格は極めて獰猛。毒はないが締め付ける力はレスラー並みで、鎌首を50センチも持ち上げ、「シャー」と威嚇音を発せられると、思わず後ずさりしてしまうほどの迫力だった。
しかしプロレス巡業の苦楽を共にした相手は、たとえ蛇であっても情が移るもの。もともと爬虫類が嫌いではなく、その蛇と別れがたくなった彼は、そのシリーズの最終日にその蛇をそのレスラーから100ドルで譲ってもらった。
そして我が家で飼おうと連れて帰ったのだが、その考えは甘かった。
一目見てびっくり仰天した妻は「(巡業で家にいない)あなたの留守中は誰が面倒を見るのよ!」と言い残すや、子供を連れて実家へ逃げ帰ってしまった。
何度、懇願しても「絶対に嫌だ」と戻ってこない。彼は結局動物園に頼み、泣く泣くその蛇を"養女”に出すことにした。そして巡業から戻るたび彼女に会いに動物園に足を運んだ。
約15年後、彼女が死んだが、出会った当時2メートルだった蛇は最終的に5メートル余りの大蛇へと成長していた。
めったにない、珍しい、貴重な素晴らしいお土産だと思います。
「堤中納言物語」の中に「虫愛ずる姫君」というのがあるそうですが、「蛇愛ずる姫君」も日本のどこかには少なからずいるはずですが、残念ながらたまたま奥様、およびお子様にはお気に召さなかったようでしたね。残念でした。
ちなみに、私の妻も、小さなミミズにも近寄りません。
(写真の本に載っていました。)